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2006年10月14日

●西川美和: ゆれる

西川美和: ゆれる(シネモンド)

田舎町で実家の家業を継いで,平凡な毎日を送る兄と,東京に出て自由で華やかな生活を送る弟.これ自体はいささか図式的なものであるが,ある事件をきっかけとして両者の感情が揺れ動き,そしてまたその事件に対する認知がゆがめられていくさまが描かれている.

一般的に兄弟は仲のよいものだと思われており,確かに子どもの頃はたいていの兄弟が仲がよいと思うが,大人になると仲のよい兄弟のほうが珍しいのではないかと思うほど,多くの兄弟が縁が薄くなったり,トラブルを抱えていたりする.肉親であるだけに互いに他人に対する以上に複雑な感情を抱いており,そうした感情のなかで関係性が規定されてしまう.しかも,その関係性から逃れることはできない.そうした関係性のなかで生きる人間が丁寧に描写されている佳作だと思う.

映画が撮影された場所が自分の地元なので,なじみのある風景が多く,映画の内容以上にそのことが気になってしまった.とくに,主要な舞台となるガソリンスタンドは実家からほど近いところなので・・・.

いまでは映画館さえない,これといってなにもないところだ(ただし,自然環境はよいほうなのかも).東京にはそれほど遠くない場所であるにもかかわらず,田舎からみる東京はなにもかも異なっている,遠く隔てられた世界のような気がする.中学生のころから東京に対するあこがれが強く,大学進学を機に東京に出てはみたものの,作中でオダギリジョーが言っていたように,しょせん自分は田舎者にすぎない,と痛切に感じるだけだった.それでも,田舎に戻る気にもなれなかったけど….

田舎のなじみのある世界で変わることのない日常をやり過ごすのか,それとも違和感を抱えつつも多少の刺激がある都会で暮らすのか.どちらのほうがよかったのだろうか,とたまに思う(いまではそのどちらでもない場所で暮らしているけれど).

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