●山田登世子: ブランドの条件
本書では,いわゆる高級ブランドがブランドとしていかに確立されたのか,ルイ・ヴィトン,エルメス,シャネルなどについて取り上げて,明らかにされている.ブランドという現象はなかなか不思議であり,以前から関心をもっている.特に,日本において,高級ブランドの人気がここまで高いのは,よくわからない.日本では,高級ブランドの店はさらに拡大しているし,人気も落ちていない.なぜ,日本人は高級ブランドにこだわるのか.そういうことを考えるうえでも,ブランドの成り立ちを明らかにしている本書は,参考になると思う.
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数年前,パリに行ったとき,頼まれていたお土産を買うためにヴィトンの本店に行った.あまり気が進まなかったのだが,いやな予感は的中.店員のぞんざいな対応に辟易した.客もほとんどがアジア系ばかりだった.
ブランド物は単なる見栄ではなく,質がよいから買うのだという人もいる.確かに,値段も高いのだから,多少は質がよいのかもしれない.しかし,ブランドの魔力はそれだけだろうか.それだけで,これだけ多くの人が必死に買い求めるだろうか.
個人的にはいわゆる高級ブランドの商品は一つももっていない.では,ブランド信仰がないかといえばそうでもない.たとえば,ファッション・ブランド.ファッションには若いころからそれなりの関心があり,若いときには単にブランドだけではなく,気に入るものを探し回った.でも,いまやそうした気力や関心もなく,特定のブランドのものを買っている.たぶんに,そのブランドのものだから買っているのだと思う.
ユニクロのものもごくたまに買ったりするが,他の同じくらいの値段の安い製品ではなく,ほかでもないユニクロを利用するのは,それがユニクロというブランドだからであろう.ブランドはおそらく,安心感を提供するものなのだと思う.
以下,目次.
1章 ブランドの誕生―ルイ・ヴィトンはいかにしてルイ・ヴィトンになったのか(ブランドとモードは両立しない?
起源のオーラ―はじめに皇室があった ほか)
2章 希少性の神話―エルメスの戦略(馬車vs.自動車―エルメスがフォードに勝つ
「売らないこと」を売る ほか)
3章 貴族のいない国のブランド―シャネルとマス・マーケット(貴族にブランドは存在しない
シャネルという名のフォード ほか)
4章 ブランドは女のものか―贅沢文明史にむけて(贅沢は男のものだった
女性専科の時代へ ほか)
終章 「変わること」と「変わらないこと」
